整体に関係する法律と規制

整体に関する法律にはどのようなものがあるかですが、結論から言うとほとんどありません。

医師免許に関しての法律は明確に存在していますが、整体という生業自体が明確に定義されていないため、十分な法整備はなされていないのが現状です。明確な規制は存在しません。

整体は一般的に「医業類似行為」として認識されています。医業類似行為とは、疾病治療を目的として行われる医療行為に似た施術のことです。

整体に関係する法律と規制

つまり「病院で行わえるような治療に似ているけど、そこまで専門性がない健康促進目的の行為」といったところです。

「あん摩マツサージ指圧師、はり師、きゆう師等に関する法律(あはき法)第一条、十二条」によると、この医業類似行為を行ってよいのは「あん摩マッサージ指圧師とはり師、きゅう師、柔道整復師」という4つの国家資格の有資格者のみです。

それ以外の無資格者が行ってはいけません。ですから厳密には「整体は医業類似行為としては認識されるべきではない」という意見があります。

しかし1960年の最高裁判所判決によると、無免許での医業類似行為を規制したり処罰するには、「人間の健康に害を及ぼす恐れの認定が必要」です。つまり明らかに有害な作用をもたらす行為と認められない限り、整体を禁止処罰することはできないということです。

このようなわけで、事実上整体は「医業類似行為」として認識されているといえます。

名称に関連した法律

ただし無免許の整体師は開業時や宣伝時に掲げる名称については注意しなければいけません。例えば「医師法第十八条」によると、整体師は「医師」を名乗ってはいけません。また「医療法第十三条」によると、「病院」や「療養所」「診察所」などの医療行為を行う場所を連想させるような名称も使えません。

他にも鍼灸の利用やマッサージ、血圧測定などを行うことが医療関連法で禁止されていますし、投薬治療や服用指示なども行えません。簡単に言えば医者や病院スタッフが行うようなことは行えないということです。

整体院は広告表示にも注意する必要がある

新規開業した整体院は新規顧客やリピーターを増やすことに余念がないでしょう。しかし広告を出す際には法律上の制限に気を付ける必要があります。「景品表示法」によると、「うそや大げさな表示など消費者をだますような表示は禁止」されています。

例えばある整体院が「施術を受ければ腰痛とは一生さよなら」とか「必ず治ります!」などの誇大表示をすれば法律違反になる恐れがあります。

これについては整体院に限った問題ではありませんが、特別な国家資格がない分、整体師はよけいに広告表示に関する規制に気を付ける必要があると言えるでしょう。